なぜ保険に加入するのか?そもそも保険は必要なのか?
保険の加入を検討する際に知っておくべき情報が満載!!
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」、保険はこの精神に則っています。
保険(損害保険)の始まりは古代ギリシャ時代だと云われています。当時すでに貿易が盛んに行われており、海上での嵐による事故や転覆などがありました。当初は事故などによる荷物の損害を荷主や船人が負担していました。しかし、事故が発生するたびに荷主や船人がその損害を負担するのは大変です。そこで、船が事故にあった場合の損害を負担してもらう代わりに、荷物が無事に届いた時には利子を上乗せしたお金(保険金)を支払うことを約束し、大勢の人からお金(保険料)を集めるといった今ある保険の原形が誕生しました。
一人一人が支払う保険料は少額ですが、保険料を支払う人が増えれば増えるほど、集金額は大きくなります。皆さんが支払ったそのお金は、仲間(保険料を支払った人々)の誰かが困った時に、その仲間を助けるために使われます。自分が困った時には、皆さんが支払ったお金で助けられるのです。
ところで、一人一人が支払う保険料は同じ金額なのでしょうか?
答えは「NO」です。
保険には基本原則がいくつかあります。そのうちの一つが「公平の原則」です。この「公平の原則」に則り、一人一人が抱えているリスクに合わせて保険料は変わります。
例えば、病気になった時にお金が支払われる保険があります。過去にまったく何の病気も患っていない人と、過去に何らかしらの病気を患った人でその保険料が同額だと公平ではなくなります。なぜならば、過去に何らかしらの病気を患っている人のほうが、同様の病気になる確率が高いからです。となると、両者とも同額の保険料を支払っているにも関わらず、「公平の原則」に反して、過去に病気を患った人に保険金が支払われる確率が高くなってしまいます。そのため、このような不公平さを解消すべく、一人一人が抱えているリスクに合わせて保険料が設定されているのです。もちろん、過去に病気を患っている人の保険料が高く設定されます。
自動車保険を例にとってみましょう。
過去に自動車事故を起こしたことがある人と事故を起こしたことがない人が同じ保険に加入する場合、自動車事故を起こしたことがある人のほうが、その後も事故を起こす確率が高くなるため、保険料が高めに設定されています。
保険には大きく分けて2つの役割があります。一つは保障としての役割、もう一方は貯蓄(資産運用)としての役割です。
まず初めに保障としての役割からお話ししましょう。
私たちの身の回りには、病気や怪我、事故、災害など実に様々なリスクが存在します。中には自分で注意していれば発生しないリスクもありますが、自分がどんなに気をつけていても回避できないリスクが残念ながらあります。
それらリスクに侵された場合、治療費や手術費、修理費や賠償金等、高額な費用がかかってしまうことがあります。そのため、高額な費用の支払いに備え、大黒柱を失った家族がその後も安心して生活ができるように保険に加入します。
次に貯蓄(資産運用)としての役割です。
保険には銀行でいう金利にあたる予定利率というものがあります。皆さんが支払っている保険料を保険会社が運用し利益を得て、それを契約者に配当金という形で分配します。その運用利回りのことを予定利率と呼びます。定期的に見直される銀行の金利とは異なり、保険は加入時に決められた予定利率で最後まで運用されます。そのため、予定利率が高いときは、資産を増やす手段の一つとして保険を利用することがあります。ただ、昨今は予定利率が低いため、貯蓄を目的として保険を活用するケースは減少しています。
必ず保険(民間保険)に加入すべきなのでしょうか?
資産形成手段としての保険は、その時の経済状況によっては有効な運用手段の一つとして検討の余地があります。しかし、デフレ時にはさほど予定利率も良くないため、いざというときにすぐ現金化(換金)できるような流動性を考慮し、他の手段で運用をするのが良いと言えます。ということは、資産形成の手段としての保険加入は必須とは言えませんね。
それでは保障としての保険はどうでしょう?
リスクに侵された場合、多額の費用が発生する可能性があることは先に述べた通りです。ということは、もしあなたがお金持ちで、リスクに侵されて膨大な費用が一度に発生しても支払いに困らない、また残された家族も困らないというのであれば、わざわざ保険に加入しなくても良いのではないでしょうか。また、万が一の時のために定期的に貯蓄をしっかりできるという人も、保険に加入しなくても何とかなるのではないでしょうか。
たとえば、現在医療費の自己負担が3割で済んでいるのは国民健康保険に加入しているからです。その他にも高額療養費制度があります。重い病気で治療が長引いたり、入院したり、手術したりすると、医療費の自己負担額が高額になります。よって、家計の負担を軽くするために、毎月一定金額(8万円程度)を超えた自己負担金額を払い戻せる高額療養費制度など、日本には公的制度があるからです。
病気や怪我で長期入院や、手術をおこなって医療費の自己負担金額が高額になった場合には、加入している健康保険窓口(国民健康保険の場合は市町村区の国民健康保険窓口、社会保険の場合は勤め先の担当者など)に申請することにより、公的保障による給付金を受け取ることができます。それが高額療養費制度です。月に一定額(自己負担限度額)以上の医療費がかかった場合に、限度額を超えた分が払い戻されます。また、人工透析を行っている慢性腎不全患者の自己負担限度額は一般で10,000円です。
| 所得区分 | 計算式 |
|---|---|
| 上位所得者 (標準報酬月額53万円以上) |
50,000円+(総医療費-500,000)×1% |
| 一般 | 80,100+(総医療費-267,000)×1% |
| 低所得者 | 35,400円 |
一般所得者を例にとって医療費の自己負担限度額を計算してみましょう。
病気治療のために入院し、1か月で100万円の医療費がかかり、国民健康保険により、3割負担の30万円を病院窓口で支払った。
高額療養費制度(保険外併用療養費の差額や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象外)を利用すると、
直近12カ月に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が所得一般の場合44,400円に引きさがり、その額以上にかかった医療費の差額が払い戻されます。
公的年金はどうでしょう?
数年前から問題になっている国民年金ですが、老後の生活のためだけの老齢基礎年金だけではなく、障害年金、遺族年金も支払われることをご存知でしたか?
その他に、政権が民主党になってから、2010年4月からは高校の無償化実施と6月から子ども手当が支給されます。
1.公立高校では生徒の保護者から授業料を徴収しない
2.私立高校では就学支援金として、世帯の所得に応じて年額11万8800~23万7600円を、学校側を通して支給
2010年度 月額13,000円/人
2011年度以降 月額26,000円/人
民間保険は公的制度の補完の位置づけで加入するものです。どうしても保険に加入しないと不安だという場合は、これらの公的制度を補う程度の保険金を目安に、必要に応じて保険に加入することをお勧めします。
なお、社会保険庁が平成21年7月に発表した平成20年度国民年金の加入・納付状況によると、国民年金第1号被保険者数(20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職)は1393万人(全額免除者、一部免除者を除く)いますが、実にその約4割が保険料の納付をしていません。
国民年金保険料を納付しない理由として全ての年齢階級において「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も高くなっており、若年齢層において「年金制度の将来が不安・信用できない」の割合が高くなっています。しかしながら、滞納者の6割以上が「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」と回答しています。
(厚生労働省 平成20年国民年金被保険者実体調査より)
経済的な理由により国民年金保険料の納付が困難な場合には、保険料の全額または一部が免除される免除制度があります。そういった場合は、まず社会保険庁に相談することをお勧めします。
公的年金の支払い要件は、保険料免除期間を含み、保険料納付済み期間が加入期間(40年)の2/3以上あることとされています。日本国内に住所を有するものであれば、65歳までなら任意加入ができ、保険料の支払いが可能です。しかしながら、任意加入期間を通しても保険料納付済み期間が加入期間(40年)の2/3以上の期間に満たない場合は、公的年金の支払い対象外となり、万一の事が発生した際や老後の生活のために自助努力が必要となります。そういった場合は、自分自身で貯蓄に励む、民間保険に加入するなどの自助努力が必要となります。
保険はただやみくもに加入すれば安心というものではありません。
保険に加入する際には万が一の際に、どのくらいの保障が必要になるのかをまず検討する必要があります。それを踏まえて保険に加入しないと、毎月支払う保険料が高くなり、日々の生活を圧迫する原因になってしまいます。どうなるか予想がつかない将来に重点を置きすぎて、今の生活が苦しくなっては目も当てられません。まずは、公的制度を把握し、その保障を考慮したうえで、民間保険の加入を検討しましょう。